株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

刷版の変遷ーCTP以前のあれこれ

オフセット機で印刷するために必要になるのは、紙とインキ、そして版になります。
現在は※CTP(Computer To Plate=組版用コンピュータのデータから直接印刷版を出力する方法)を使って版を出力していますが、CTP導入以前は、作成したデータをまずフィルムに出力して、そのフィルムをPS版に焼き付けていました。

上の写真が版に焼付ける機械。PS版にフィルムをのせて焼付露光中


それとは別にもう一つ、ダイレクト製版方式のシルバーマスターシステムという、PS版よりも簡易にできる版の作製方法がありました。

作業方法は、コピーを取るときと同じように、版下用に出力した紙原稿をガラス面にあて、光が入らないように上からふたをし、スイッチを入れると、版が出てくるというもの。

↑シルバーマスターの版。銀色の部分にインキがのる


↑ロール状にまかれた版。露光しないように、黒い袋に入れて管理していました


フィルムやPS版を使わないので、コストをかけず、簡易にできるという面がよかった反面、大量印刷には向かないということと、印刷時の湿度や環境の影響を受けやすく、トンボ(見当合わせのための目印)の合わせが難しいという面もありました。

複写物(ノーカーボン紙の印刷など)の場合、1枚目と2枚目とで同じ項目部分がずれないように、タイトル名などの異なる部分だけをセロテープを使って重ねて貼り一枚ずつ隠しながら版を作るという、できる限り誤差を少なくする作業をしていました。

CTPの登場によって、このような手作業での版作成や、フィルムから版に焼き付けることによる工程変量がほとんどなくなり、よりデータに近い正確な版を作成することができるようになりました。

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