株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

活版印刷を深掘り⑬ 活版印刷機の魅力

↑活版印刷が主流だった当時、頁物や新聞などを印刷していた活版印刷機


活版印刷の工程も、いよいよ印刷です。

本刷り(本番の印刷)の前に何枚か試し刷りをして、最終チェックをします。もちろん、内容の校正は機械に組付ける前に終わらせていますが、印刷ムラがないか、滅字がないか、組付けの際に四角の活字が意図せずひっくり返っていないか、印刷濃度は良いか、きちんと仕上げサイズがとられているかなどをチェックしていきます。万が一、この時点で誤植(ミス)を発見したら差し替えることもありました。

オフセット印刷の場合、印刷機に版をかけてから差し替えが必要になったときには、いくつもの工程を後戻りしなければならず、版を作り替えなければなりません。しかし活版の場合、簡単な処理(1字の差し替えなど)であれば機械上で行なうことが可能です。これは、手作業で植字をする活版の有利なところかもしれません(もちろん基本は機械にかける前に処理しておくのが鉄則です)。

確認が終わって印刷OKになれば、いよいよ本刷りにとりかかります。活版機の厚い鉄板が前後に動いて印刷をしていく様は、とても勇壮で迫力があります。機械そのものがどっしりしているので、とても重量感があります。

オフセット印刷機が版胴を回転させて刷っていくのに対して、活版機は平盤が平行移動することによって印刷します。どうしてもスピードは劣りますが、その印面は何ともいえない力強さがあります。 メリハリのあるインキののり具合や、マージナルゾーンといわれる、活版ならではの縁取りのような部分が、オフセット印刷にはない特徴で魅力でもあります。ちなみに当社では、今でも伝票などのナンバリングを、活版印刷機で行なっています。

↑ナンバリングのセッティングの様子


印刷が終わると、下版です。
下版というのは、刷り終わった版を機械から降ろす作業です。版に付いたインキをガソリンで落とした後、組付けた版をまた一つずつ糸でくくり、受け板に戻していきます。これらの版は製品が納品されるまで置いておき、納品が終われば最終工程の「解版」に回されていました。

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