株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

写植機のことⅢーQ数レンズ

↑主レンズを回転させて使っていた(緑の数字がQ数)


■Q数レンズ
写植機の文字の大きさは級数(Q)で表示され、1級は0.25㎜です。レンズは、7級~100級まで、24種類ありました。15Qが活字でいう5号、10.5ポイントとほぼ同じ大きさ。縦送り横送りは歯車(つめ車)の1歯(1H)=0.25mmで動きます。したがって、8級の文字をベタ打ちするときは、8歯(2㎜)送ることになります。パソコン上でも、文字や送りの単位として級数や歯送りがあるのは、この名残だといえます。

写植機は、すべて㎜単位で計算できます。実際には大きなサイズのベタ打ちだと字間が空きすぎたりするので字詰めをします。計算通りの寸法になることは稀ですが、㎜単位なのでおおよそのイメージはつけやすいです。

また活字と違うところは、どれだけ同じ文字を使っても、字がなくなることがないということ。さらに天地が逆さまになったり、横向きになる心配もありませんでした。そういう点では、神経を使わなくなりましたが、誤植があったときの差し替えはちょっと大変でした。正しい文字を印字して1字だけ差し替えるのは慣れが必要で、フィルムや印画紙をまっすぐ張り込む技術は相当鍛えられました。

今ではフィルムとともにほとんど使われなくなった写植機ですが、印刷技術の発展の上で一時代をなしていたことは、印刷に携わるものとして、記憶に残しておきたいものです。

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