株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

紙にも目があるんです


紙の目。これは普段、字を書いたり、コピー機で複写をしたり、新聞を読んだりするときには、あまり意識しないことかもしれません。

ここでいう「目」とは、紙の繊維の方向の違いによって区別されているものを指します。紙にはタテ目(縦目・T目)とヨコ目(横目・Y目)があり、長辺に対して目が水平方向に流れているのがタテ目、短辺に対して目が水平方向に流れているのがヨコ目です。目をこらしてよく見てみると、うっすらと紙に目があることが分かると思います。

■紙の目はどこで決まるのか
紙の目が形作られるのは、紙を作る工場です。紙は、原料であるパルプシートを水と混ぜ合わせ、抄紙機(紙をすくための機械)を使ってシート状にし、プレス・乾燥させることによって作られます。検査を通過した紙は、大きなロールから四六判やA判などの規格サイズにカットされますが、このときのカットの仕方によって流れ目(タテ目、ヨコ目)が決まるそうです。

■製本での紙の目の注意点
紙には、目に沿って折った場合は折りやすく、逆に目に対して垂直方向に折った場合は折りにくいという性質があります。

製本工程において、紙の目を適切に選ぶことがもっとも重要で、本の背に対して目が平行になるようにしています。例えば、A4規格の本を作製するときは、「A判ヨコ目」の紙を使い、A5規格の本を作製するときは「A判タテ目」の紙を使います。

こうすることで、本の開きが良くなり、耐久性が高まります。

■紙の目の見分け方
紙の目は、実は簡単に見分けることができます。

紙を準備し、長辺を半分にするように紙を破ってみてください。スッと破ければ、それが紙の目の方向です。目が逆の場合、びりびりに破けます。分かりにくいときには、短辺も半分にするように紙を破ってみてください。長辺と短辺の両方を破ってみると、違いが分かりやすいと思います。

また小さく切った紙片を水に浮かべて、反り返った向きから紙の目がわかります。紙を水で湿らせても判断ができます。

■注文時は「ヨコ目」か「タテ目」を明記
印刷所では、用紙を注文するときにタテ目、ヨコ目を明記しています。前回のブログでもふれましたが、紙屋さんから紙が納品されるとき、下の写真のようにヨコ目なら長辺の方にラベルが貼ってあります。


種類によっては、タテ目もしくはヨコ目しかない紙もあります。その場合、紙どりを工夫して本を作製しています。

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