株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

紙とキログラム

キログラム原器の廃止!?

以前とあるテレビ番組で、「1キログラムの定義を変える国際会議に参加する日本人に密着。貴重な会議でランチに何を食べるのか?」ということをやっていました。

今までキログラムの定義などあまり考えたことがなかったので、「“国際度量衡委員会”という組織がある!?」ということにまず衝撃を受けました。

さらにキログラムの基準が「国際キログラム原器(19世紀末に作られた白金イリジウム合金製の分銅)の質量」とされてきたことを知り、さらに驚きました。

そのキログラムの定義が130年ぶりに見直され、国際度量衡総会において、“指紋1個分の油とほぼ同じぐらい”の誤差が生じてきた「国際キログラム原器」を廃止することが決定。

来年の5月からは、「光に関する物理定数“プランク定数”を基準に定める」ようになるそうです。

私たちには「プランク定数」が何なのかはよく分からないですが、とにかく歴史的なことがおこなわれたのだ!! ということだけは分かりました。

印刷で使う紙とキログラム

さてここからが本題ですが、キログラムといえば私たちの生活に密接に結びついていて、紙やインキ、その他の資材を扱う印刷業界でも、重要な一端を占めています。

とくに紙の厚さをあらわす際に使う「kg」はとても重要です。お客さんから「見積書に書いてあったコート135kgってどういう意味?」など質問を受けることも多いですが、私たち自身が正確に知っておかなければ、大げさに言うと印刷ができないぐらいのものです。

印刷会社や紙を扱う会社の多くは、「kg」であらわす紙の単位のことを「連量」と呼んでいます。

連量とは1連(全紙1000枚)あたりの紙の重量を示していて、四六全紙※の重さを基準とし、菊判、A判、B判などがそれぞれ「kg」単位で表されます。
※全紙とは用紙規格における最大サイズのこと。一般的によく使われる規格サイズに切られる前の元になる紙の大きさ。


例えば四六判で90kgの紙であれば、菊判では62.5kg、A判では57.5kgとなります。この三種類のなかでは、四六判の大きさが一番大きいので、1000枚の重さが90kgと一番重く、逆にA判は一番小さいので、1000枚の重さが57.5kgと、このなかでは一番軽くなります。

四六判の90kgもA判の57.5kgも紙の厚さは変わりませんが、紙の大きさが違うために表記の仕方が違うという“ややこしい”ことになってしまっているのです。

紙を注文するときの計算

さらに私たち印刷会社が紙を購入する場合、紙屋さんから「1kgが220円です」というように見積金額を提示される場合が多いです。

この場合、A判57.5kgの紙であれば、220円×57.5kg=12,650円という計算をし、これを1連=1000枚の紙で割って、1枚あたりの単価@12.65の金額を弾き出すようになります。

そして実際に本を作る場合には、1冊の本に使う紙の枚数を計算して冊数を掛け、これに印刷で使う予備や製本の予備などをプラスして、紙屋さんに紙を注文するという流れになります。

紙の単位で使う「kg」は難しいようですが、覚えてしまえばとてもおもしろいものです。大量の本を作る場合に、「○○○○冊でこれだけの紙を使用する」という計算を弾き出せたときは達成感を感じます。

このたびキログラムの定義が変わったことで、私たちの生活に直接の変化があるとは思いませんが、1kgの重さについて考える(紙でいえば厚さにもなりますが)ことができたのは良いきっかけとなりました。

紙に印刷して製品にしていく印刷・製本業だからこそ、何かをきっかけにして自分たちのまだ知らない紙の奥深い部分まで知っていくことが大切だと思っています。

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